クトゥルフのグール(食屍鬼)ってどういう行動するの?
グール(ghoul)また食屍鬼(屍食鬼)とも呼ばれる種族は、敵にも味方にも、人間であった葛藤も、化け物である残虐性も含め愛らしい生物です。
ただ、グールで1つの本が作れるぐらい、色々な資料が多すぎる!ってぐらいに作品に登場します。
なので、「あれ、こっちで書かれていることとあっちで書かれていることが違うぞ」と思うかもしれません。
というわけで、グールをクトゥルフ神話TRPGのシナリオで使う場合、どういう思考や行動をするのかを、主観などを交えて書いていこうという記事です。
因みに、全ての資料を集めたわけではないので、この記事はどんどんアップデートされていきます。
基本的な情報は、食屍鬼(グール)ってなに?-神話生物を紹介その2で紹介しているので、こちらをどうぞ。
あくまでも、この記事は、どういう行動をするのかを、わかりやすく紹介するだけです。
今回の内容
【シナリオに使いやすい】
やはりグールは使いやすいです。
初心者シナリオ向きでもあるのではと思っています。
- 「異星人だと、思考や道具など把握しないといけないのでは?」
- 神格を登場させると「どういう感じで人と関わればいいのだ? 設定矛盾おきたらいやだなぁ」
と最初のころ、僕は思ってしまいました。
が、グールなら
- 思考が人間に近い
- 武器や道具などテクノロジーはない
- 人間だった時の葛藤をもっているものもいる
- 死肉を漁る
- 交渉もできる
- かと安心したらおもいもよらない獣的な残虐性を秘めている。
というのが物語などを見た感想です。
「話はできるが結局のところ、わかりあえることはないのだ」という感じですね。
ただ、『絶対に敵! 味方!』ってわけにならない神話生物なので、シナリオに登場させるうえで、幅を広げやすいです。
【共通する基本ルール】
以下の項目は各作品のグールにほぼ当てはまります。
絶対守ったほうがいいなんて言うつもりはありませんが、ここだけ抑えておくと、書きやすいのではないかと思います。
- 墓地や洞窟、地下鉄などを生活圏にする
- 人目を忍ぶ
- 屍肉を漁る
※生きた人間の肉をそのまま食らうわけではない。 - 群れでいる。
- 容姿などが醜く、悪臭がある
【各作品のグール】
ただ設定を書いても「結局、劇中でどういう行動をしていたのだろう?」っと思いませんか。
なので、今回は各作品での行動などを紹介します。
作品によって共通する部分もありますが、それでいて独自の文化、思考、能力などを持っていて非常に面白いです。
あくまで書籍化されたもののみです。フリーシナリオや同人などは別です。
・ピックマンのモデル
まずこの作品では、ほぼグールはでてこないです。
あくまでもピックマンがグールの絵を描いて(後にそれは本物と思われる)、その生活などが紹介されています。
・・・色々な絵・・・
・魔女がグールの顔をしている。
・『食事をする食屍鬼』
人間の屍を、グールが貪り喰う。
・『教え』
教会の墓地で、グール達が、自分たちの子供と人間の子供を取り換え、その人間の子供に自分達と同じように屍を喰うことを教えている。
・『地下鉄の事件』
グール達が群をなして、未知の地下納骨所から、地下鉄の駅の床の割れ目を抜けて現れ、プラットホームにいる人々に襲い掛かる。
他にも地下鉄を描いた絵はあって、穴や裂け目から忍び込み、階段を下りてくる犠牲者を待っている。
・『マウント・オーバンに葬られたホームズ、ロウエル、ロングフェロー』
未知の地下納骨所で、1匹のグールが大勢の仲間に取り巻かれながらボストンの案内書を朗読している。
この作品では、完璧にグールは恐怖の象徴として描かれています。
主人公もこの作品を見た結果、震えてしまい、地下鉄などに行きたがらなくなっていました。
区別するなら、この作品では完璧に『恐怖すべき敵』です。
・未知なるカダスを夢に求めて
この作品ではかなりグールが登場し、主人公であるランドルフ・カーターと関わりますが、敵対しません。
最初から最後まで味方で、主人公とともにムーンビーストと大戦争します。
- 基本的には悪臭は放つ、獲物を食い散らかす不快な生き物だが、食屍鬼の言語を使うことで説得可能。
- 自分の知っていることを話してくれる。
- ドリームランドを案内し、一緒についてきてくれる。
- 主人公であるランドルフ・カーターの指揮のもと、部隊を分けたり、武器などを使い、戦う。
- 共に戦ってくれた、ランドルフ・カーターにかなりの感謝を表す。
- 負傷者を殺して食う習慣があるが、その習慣をその場で抑えたりもする。
(カーターがいたから?)
これを見て、グール嫌いになる人いるのですかね。
この作品では、一応グールらしさ(不快、死肉を食い散らかす)などありますが、それ以外を除けば、普通にコミュニケーションがとれます。
もちろん、主人公がグールの言語を知っており、グールとなった旧友とも再会したというアドバンテージはあるのですが、だからといって最後まで義理堅く、恩に報いるような行動するのは中々だと思います。
名状しがたい化け物って扱いより、ファンタジーに出てくる種族のような立ち位置ですね。
・食屍姫メリフィリア
食屍鬼と人間の恋を描いた作品です。
この作品は、人間目線ではなく、グールの目線で書かれているため、非常に新鮮です。
ただ、ラヴクラフト作品ではありませんので、本来の設定と違っている部分もありますが、これはこれで参考になる部分はあります。
<この世界のグール>
- 地下洞窟に住んでいる。
- 仲間意識がなく、群れでいるのが好きなわけではない。独りでいると食料を隠していると思われるから群れている。
- 交尾は性急で、性別はおろか、相手が誰であるか、しばしばおろそかになる。
- 人間とも会話などはできるが、本能に忠実なので、人間や同種に対しての思いやりはない。
- 飢餓感が強く、死体が墓に持ち込まれるのを楽しみに待っている。
- 食事の邪魔となると仲間同士ですらひっかきあいを始める。
- 墓に死体が来そうな日は、グール全体で墓守を刺激せずに、死体を奪うか作戦をたてるが、その時がくれば、作戦など無意味に、全員が黄金やアクセサリーなどに目もくれず、死体の過激な奪い合いとなる。
- 食らった獲物の記憶を会得できる。更に、その姿にもなることができるようで、その姿で人間をからかうのを楽しみとしている。
しかし、その能力が制御できないと、自分自身がその食べた人間だと思い込んでしまう(丸ごと平らげたり、食べた量に比例すると思われる)
強烈な衝撃(殴られる)などあると元に戻る。
<メリフィリア>
食屍姫メリフィリアのメリフィリアだけは他のグールと比べると、少し変わった性格をしています。
こちらもご紹介します。
- 例外的な優しさをもっていて、本能に強いられ、子供を食べる時は、目に涙をこぼす。
- 仲間に対して思いやり深い。また人間のように繊細な部分がある。
- 詩人フラドガアに恋はするが、フラドガアが自殺したのではと勘違いしたときに、彼の死体を食べ、一心同体になろうとする狂気じみた考えを抱くが、グールになってしまったからなのかもともとなのかはわからない。
つまりは、ある程度の法則に従って、グールを作って、
- 人間と付き合っている。
- 人間社会にどうにか溶け込んでいる。
- 自身がグールと明かさず人間の子供を育ている。
など、本来のグールとはズレた設定を作っても、『例外的にそういうグールもいる』というやり方もできるのです。
<オマケ>
この食屍姫メリフィリアに登場する、グールに惚れられる詩人フラドガアも結構どうしようもなくて、メリフィリアに「好きな女の死体を食べて、その女になってくれ」と頼みます。
いざメリフィリアがその女性になり、フラガドアが告白するが、その女性が生前からフラドガアのことを軽視していたとわかると、殺してやりたいと思うような男だったりします。
更に、その女性がフラドガアに気持ちはないことを、メリフィリアから事前に教えてもらった際も、そんなことはない! と、かたくなになっています。
つまりは、人間に騙されるグールなどがいてもよいのです。
【グールのカルトがある!】
カルトとは、何かを崇拝する不気味な集団なのですが、グールのカルトが日本に存在します。
『何かを崇拝してこの世界に混沌を!』という邪教の集まりではなく、その行動理由は『必死に生き延びる』という共同コミュニティのような集団。
なんて健気なんだ!
【出典】
- 『クトゥルフ神話TRPG』
(6版の基本データやステータスを掲載)
- 『新クトゥルフ神話TRPGルールブック』
(7版の基本データやステータスを掲載)
- 『キーパーコンパニオン』
(生活、歴史、行動などを詳しく記載) - 『ラヴクラフト全集〈4〉』の『ピックマンのモデル』
(作品で登場) - 『ラヴクラフト全集〈6〉』の『未知なるカダスを夢に求めて』
(作品で登場) - 『ラヴクラフトの遺産』の『食屍姫メリフィリア』
(主人公がグール) - 『クトゥルフカルト・ナウ』
(グールのカルトが掲載)
【まとめ】
この記事は資料が増えるごとに、更新されていきます。
ただこの段階で既に
- 人を襲う化け物
- 恩に報いる
- 恋をする
他様々なグールを描かれています。
基本的なことさえ守っていれば、正解不正解なんてものは存在せず、あなたの欲求に素直なルールで描いたグールが正解なのです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません