深きものってなに?-神話生物を紹介その5
深きもの……海の底に眠る邪神を崇拝する不気味な種族。今回はこの生物を紹介します。
というわけで、クトゥルフ神話TRPGにでてくる化け物……通称『神話生物』を紹介しますが、軽く説明し、実際、シナリオで使ってみてどうだったかを紹介します。SAN値チェックしながら見てくださいね!
神話生物についてはこちらの記事をどうぞ↓
神話生物ってなに?
今回紹介するのは『深きもの(英語:Deep Ones)』という種族です。
軽く説明すると言いつつ、クトゥルフ神話の中でも1,2を争うぐらいで有名なので情報量が多い!(他の呼び方で『深きもの共(ども)』や『ディープ・ワンズ』と呼ばれたりしています)
粘土で作ってみました。ヘタクソだけどお許しを!
今回の内容
【基本的な特徴】
かなり人気の種族のため『この種族は資料によって異なっていて、定説のない種族となっている』とのことです。
(※ただこれは、深きものに限らず、色々な人がクトゥルフ神話の設定を作っているので、こういうことはちょいちょいあります)
・見た目
・大きさは、人間の1,2倍ぐらい。
・見た目は、灰色がかった緑色、腹部だけが白い、皮膚は光ってツルツルした感じだが、背骨の隆起している部分はウロコで覆われている。
全体的な形は人間に似ているが、頭部は魚のような顔。決して瞬きをしない。手足の先に水かきがついている。移動するときは飛び跳ねて進む。
・活動場所
・遠い昔、ゾス星からクトゥルフ達がやってきた時に、深きものも一緒にやってきたという説もあれば、人類の進化と同じように自然に生まれてきた種であるとか、他にも色々ある。
・色々と謎はあるが、人間と同じくらいか、それよりも古くから存在している。
・生活は水中で行う。
・家は普通岩やサンゴに掘られたワンルームの小さな洞窟のような部屋で寝る時にそこに入るだけで、個人の所有物は、魚を突くモリぐらいだが、芸術は好きらしく、モリも装飾が施されている。
※『インスマウスの影』でも、正体不明の金属で造られた、美しい冠が出てくる。
インスマウスの影ってどんな話?-クトゥルフ神話を要約その2
・コミュニケーション
・お互いのコミュケーションは頻繁に行われず、テレパシーの一種のようなものを使う(テレパシーというよりは共感らしい)、足りないところは2、3の手の動きと微妙な顔の表情、水中でも使える叫び声や吠え声などで補う。ルルイエ文字をベースにした書き言葉も存在しているが、めったに使われない。
・一時的に一夫一婦の関係を結ぶだけで真の意味の家族を作らない。また、深きものは冷血動物なので、別の個体と長期間に渡る特別な関係を結ぶことはない。
・食べる物
・魚をつくモリがあることから、魚を食べるかもしれない。
・寿命
・事故などでは死ぬが、老衰では死なないと言われている。生きている限り成長を続けるので、中には巨大なサイズの物もいる。
・倒し方
・通常の深きものであれば、武器や戦闘技能があれば、苦戦することなく倒せるが、相手が槍などを持っていた場合注意。
・その他
・呪文を知っている場合がある。
【能力】
・かぎ爪やハンティングスピアを使って攻撃する。
・色々な魔術を使えるが海に関係した魔術が多い。
・装甲1ポイントの皮膚。
【考え方】
・全員が同じような人生観を持っているので、対立はめったに生まれない。
・考え方も一貫しており、寡黙な性格なため、種族間でも交流はしない。
・深きものは世界中の海に散らばっているが、コロニー同士の交流も対立もない。
・物事には熟考して、ゆっくりと解決する。長生きなので焦らないらしい。
・個体数がその環境によって最大値を超えると、出産数を抑え、出産された場合も育児放棄や子殺しを行い、種の数の均衡を保つ。
【宗教や文化】
・考え方が統一されているため、相談や議論は殆ど行われず、法律も法廷も存在しない。
・司祭や魔術師的な立場もいるが、宗教的な階級はない。
・先祖崇拝と年齢の高い者を尊敬するのが習慣で、社会の中心。誰でも何百代にも渡る家系をスラスラいえる。
・父なるダゴン、母なるハイドラが深きものの最長老で慕われているが、ダゴン、ハイドラは個人的な名前ではなく、長く生きた個体につけられている称号なのかもしれない……らしい。
・ダゴンとハイドラを崇め恐れ、畏敬とされるのが、彼らの神はクトゥルフ。クトゥルフはよく夢の中に現れ、いつの日かクトゥルフが目覚めるのを待っていて、クトゥルフに生贄(哺乳動物や人間)を捧げている。
・深きものにとっての聖なる日は年に2回。ハロウィンのころ(10月末)と、五月祭前夜(4月末)のころ(しかし、クトゥルフ自身はこのことを知っているか謎らしい)
【人間との関係】
・人間に慣れていないので、慣れていない人間には攻撃的な態度をとる。
※と書かれている反面、『興味を持った人間には最初は従順な関係を築く』とも書かれています。
・柔らかい金属を加工する技術を伝統的に持っていて、宝飾品を作って、人間と取り引きしていることもある。
・隔離された人間の町の中に潜んでいて、そういう場合は大抵そこの人間と交渉を済ませている場合が多い。
・深きものと交渉をできる人間は、深きものの教義を、自分のコミュニティや自分たちの宗教(キリスト教など)の中に取り入れる。
・人間と交流が深まると、深きものは「人間を支配し、自分の種族を広げたい」という欲望が押し寄せてくる。
・人間と交配して生まれた混血種は、生まれた時は人間と同じように生まれるが、次第に年がたつにつれ、深きものになっていき、海に入っていく(中には人間のままのもいる)
【深きものの持ち物】
※『芸術的な意匠には恵まれているが、物はもたない』みたいなことが書かれていますが、これは『芸術的な物を作る才能はあるが、芸術品をたくさん所有する思考はなく、人間と取引する場合において必要ならば制作する』と解釈しています。
なので↓の道具も『種の生存に必要だから所有している』と個人的に考えています。
個体が持つのではなく、種族全体の共有物みたいなイメージです。
・槍
深きもののメイン武器のハンティングスピアです。これを武器とし、時に戦いに使い、時に漁をするために使う、立派な装飾が施された槍です。
・気候箱
人間が入れるぐらいのサイズの金属箱で、中の水圧、気圧、温度を調節できる。実験や拷問に使える。
・狂戦士薬
人間、もしくは深きものに殺人衝動を引き起こす薬。
・治癒の軟膏
重度のけがを完全に3か月以内に回復できる。失った手足も生えてくるが、使い方を間違えると手足以外のものが生えてくる場合もある(深きもの以外が治るかはわからない)
・義肢
正体不明の黒い不快な金属。装着者は触感は伝わらないが、筋力を増強されるが、正気度が減っていく(人間だけの話っぽい)
・汚れた血液
人間に輸血すると、深きものになってしまう場合がある。
【出典(データ&ステータス)】
※詳しいステータスは、6版、7版のルールブックから参照してください。
『インスマウスの影』ではただの半魚人っぽい感じだったのですが、人気作品なせいか、設定がどんどん増えていき、情報量が本当に多い!
今回の深きものは
- 『クトゥルフ神話TRPG(6版)』
(6版の基本データやステータスを掲載)
- 『キーパーコンパニオン』
(詳しい生活や行動を記載) - 『インスマスからの脱出』
(深きものの町、インスマス観光ガイドブック) - 『ラブクラフト全集1』の『インスマウスの影』
(物語に登場)
因みに『粘土でクトゥルフ』でフリー素材になっていますのでよろしければご活用ください。
他にもいらすとやでも素材化されており、多くの立ち絵などを見かけますが、かわいいものはあまり見かけないです。
↑こちらはいらすとやの深きもの
【深きものに関する主観的感想】
ここからは、深きものを、自分のイベントやシナリオで使った感想を、主観100%で言います。
シナリオ作るのが楽な神話生物です。
・物語の全てを考えやすい!
僕だけかもしれませんが、シナリオを作ったときに『この神話生物だしたい!』と思っても、『この神話生物からどう物語を作ろう?』と悩んでしまうことがあります。
でも『深きものをだしたい!』って思ったとき……
- A:田舎に旅行(肝試し、都市伝説の噂などを求めて)結果、深きものと手を結んでいる不気味な町でした……。
- B:友人が失踪した。捜索していくうちに、彼の先祖は漁村で生活していて、そこでは奇病が流行り……彼は深きものに……。
- C:ビーチに旅行に行ったら、サメが出てきたと思ったら、深きものが操作していた……。
- D:目覚めると、謎の建物にいた。深きものが襲い掛かってくるので脱出しよう……。
- E:変な宗教にはまった友人を助けに行こう、邪教の教団に潜入すると、そこの奴らは深きものでクトゥルフを……。
と、非常にポンポンでてきます。
自分だけなのかもしれませんが、深きものは種族として非常にわかりやすく、物語に絡みやすい種族です。
- 目的は邪神の崇拝で人間を生贄に捧げ、襲うこともある。
- 人間と結託している時があり、教団もある。
- 先祖がそうならば、人間も深きものになる。
これだけで巻き込まれ系のシナリオも、自分から調査するシナリオもいけます。
・倒しやすい
前の回などで紹介した、ミ=ゴ、食屍鬼(グール)、と一緒で倒せないわけじゃないです(強いですけど)
しかも、今、紹介した神話生物と違って、銃弾が効きにくいとか、即死する可能性のある銃を持っているとかはなく、装甲1ポイントの鱗があるくらいなので楽と言えば楽です。
ミ=ゴってなに?-神話生物を紹介その1
食屍鬼(グール)ってなに?-神話生物を紹介その2
・探索者として使うという変化球もあり
キャラクターとなる探索者は、基本的には人間なのですが、あえて、深きもの町の出身の職業、狂信者として『いつか自分も深きものになるのを夢見ている』とかそんな影のある人物でキャラを作成しても面白いかもしれません。
もしくは、探索者(キャラクターと同じ意味)全員が深きものと関係のある人間で『クトゥルフの復活を目的とする探索者たち』というシナリオにして、道中、敵対する教団を倒し、NPCの深きものと一緒に旅をして、最後には深きものに覚醒……なんてシナリオもできるかもしれませんが、ちょっとふざけすぎました!
【まとめ】
以上が深きものでした。
目的や住処、ステータスなどが扱いやすく、非常に汎用性のある神話生物です。
こんな感じで、自分のイベントに出てきた神話生物を粘土フィギュアにして紹介しますので、神話技能を増やしつつ見て頂けたら嬉しいです。
しかし、深きものがでてくる海って、夜の不気味な海とか、色が綺麗ではない荒波の海のイメージなのですが、綺麗な沖縄の海とかにいるんですかね。その場合、なんかイメージと違うなぁ……。
次回→ビヤーキー(バイアクヘー)ってなに?-神話生物を紹介その6
◇オマケ:崖の上のポニョがクトゥルフ?◇
ネットで調べてみると、ジブリ作品でお馴染みの『崖の上のポニョ』がクトゥルフ神話では? とネタにされています。
調べてみると
- ポニョの顔がインスマス面の特徴に似ている。
- ポニョの父、フジモトが元は人間で今は海の眷属といった設定や魔術師などの概念がクトゥルフ神話っぽい。
- というかポニョの母と父はダゴン、ハイドラでは?
- フジモトの目的が、"命の水"を使い、忌まわしき人間の時代を終わらせ、再び海の時代が始まようとする壮大さが、ダゴン秘密教団っぽい。
- 舞台となった港町もインスマスっぽい。
と言われていますが、実際はわかりません。
ジブリではわりとこういう考察は飛び交うので、ファンの方を傷つけないためにも、あくまでもネタとして楽しむのがいいのかもしれませんね。
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