ラヴクラフトの遺産を紹介ーTRPGグッズその15

今回は番外編と言うことで、今まで買ったTRPGのグッズの一部を紹介します。

紹介する基準は、TRPGに使えそうな物、TRPGの世界観をイメージして作られたグッズ、そのどちらも紹介していきます。

今回紹介するのは創元推理文庫より『ラヴクラフトの遺産』です。

当ブログでは、ラヴクラフト全集の紹介をしてきましたが、今回はH・Pラヴクラフトは執筆的な意味で登場しません!
しかし、そのラヴクラフトの影響を受けた作家たち、通称ラヴクラフティアン達による、ラヴクラフトに向けたレクエイムのような作品たちが載っています。
もうなんていうか愛の詰まった公開ラブレター……いやラヴレターのような作品です。

ラヴクラフトってだれ?

では、今回もどんな話があるのかを、超ザックリ、ふわっとした感じで説明します。
ちょっとのネタバレもいらないって人は、ここから読まないことをオススメします。

【ラヴクラフトへの公開書簡】

親愛なるラヴクラフト。
貴方はお亡くなりになったため、この手紙は何処に送っていいか迷っています。

ラヴクラフトと実際に手紙のやりとりをしたロバート・ブロックが、ラヴクラフトへの想いをここに記したものです。

【間男】

近頃、妻は夢の中で知らない男に会っている。

ページ数も少なく、難しい文章や展開もなく非常にわかりやすい作品で読みやすかったです。

【吾が心臓の秘密】

まず私の生い立ちについて語ろう……。

幼少期の時に起きた出来事などが不気味すぎたのですが、大人になってからがアッサリしているなと感じました。
ただ、クトゥルフ神話の旧支配者や外なる神について触れていて楽しかったです。
『この世には頼れる神はいない! だが頼れる神々はいるのだ!』『蕃神(旧支配者(?)は話ができないが、外なる神は取り引きすることはできる』って台詞は好きでした。

【シェイクスピア忌憚】

ある日友人から「100年以上前の死体を見つけた」と興奮した電話がきた。

わかりやすい。非常にクトゥルフ神話的であり、専門用語も飛び交わず、ポイントを押さえている作品だなと思いました。
ラストが見方によって派手で、重機VS邪神みたいはコメディにも見えるかもしれませんが、私は結構好きでした。
あの有名なユグソトースがでてきます。

ヨグ=ソトースってなに?

【大いなるC】

人類の宇宙探索は大きく進化したが、問題が一つ起きた。
それは第二の月が発見されたことだ。

ホラーにありがちなのは、「自分だけが怪異に巻き込まれる」ってのが定番ですが、この話は規模がどんどん大きくなり、伏線なども回収されていきます。
それなのに登場人物は二人の友人関係と化け物の脅威に話を絞っているのがわかりやすい。
あと、近未来な感じの世界観ではあるのですが、時代が2013年だったりします。
物語の未来的作品を現実が追い越してしまうのもSFあるあるですね。

【忌まわしきもの】

蚤の市から、奇妙なトカゲの剥製を手に入れたことで物語は始まる。

読みやすい。17ページぐらいで話も入りやすく、サクッと読めます。

【血の島】

暗闇に浮かんでいるのは死人の生首。彼は私に何かを訴えるように血を流し続けている。

クトゥルフ神話TRPGのシナリオにも非常に使えそうであり、一つの映画のような作品。
最初に謎があり、ホラーやミステリーな部分などを混ぜ合わせつつ、謎がどんどん解決していく。

【霊魂の番人】

この監禁された部屋から私は逃げ出せるのだろうか。

よくある『本当は人間が怖い系』の話。今でこそ一つのジャンルになってしまい、改めて読むと目新しさはないが、文章の表現や、キャラクターの不気味さにゾクッとしてしまう。

【ヘルムート・ヘッケルの日記と書簡】

ラヴクラフト? 誰だそいつは。何故私の文体を乗っ取るのだ!

ホラーなのかもしれませんが、僕にはテンポの良いコメディ感があって楽しめました。
作品作りをしていたら、気づけば誰かの作品に似てしまっていたという経験は誰しもありそうですよね。

【食屍姫メリフィリア】

食屍鬼メリフィリアは、ある日、人間の詩人、フラガドアに恋をする。

この作品の食屍鬼は、喰ったもの記憶がわかる(その姿になれる?)という特殊能力をもっていて、それが作品の中心となって進むのが面白かったです。
また、視点が人間ではなく、食屍鬼目線なのも好き。オススメの作品です。
※あとがきを見ると、ドリームランドの話として解説されていますが、それっぽい描写が見つけられませんでした。サプリにも載っておらず、詳しい方いたら教えてください。

食屍鬼(グール)ってなに?

ドリームランドってなに?

【黄泉の妖神】

老人は静かに『魂を抜く鬼』について語りだした。

途中、神についての解説などがあり、自分的には難解な部分がありました。ある意味ラヴクラフトらしい作品だなと。

【ラヴクラフト邸探訪記】

憧れのラヴクラフトに会った私は驚愕の事実を知らされる。
ラヴクラフトが創造した者が全て現実になってきているのだ。

作者がラヴクラフト大好きなんだろうなってのが充分に伝わりました。
正直、作品中にラヴクラフト作品の話がかなりでてきて、予備知識がないときついかもしれない。

【邪教の魔力】

故郷に久しぶりに戻った私はふと最初の殺人について思い出す。

1950年代の情景描写がとても丁寧に描かれていて、ノスタルジーを感じさせつつ、闇の深い青春時代などが味わい深いです。
また、クトゥルフ神話チックでありながら、クトゥルフ神話用語や学の必要な専門用語を出すわけではないのが非常に読みやすいです。

【荒地】

私とクレイジー・クレイトンと呼ばれた友人と一緒に、不気味な発光体を探しに森の奥地へと進んだ。だが私はその選択を後悔することになる。

奥の集落のような場所で生活している人々、専門知識、最後の急展開など、ラヴクラフトのポイント抑えているなとは思った。
ただ少し長いなと感じてしまいました。

【まとめ】

ラヴクラフトっぽさを出している作品があったりするのですが、逆にオリジナリティがもっと欲しいなと思う作品がチラホラありました。
が、中でも面白い作品もあり、食屍姫メリフィリアや邪教の魔力はとても惹き込まれました。

作者の死後、その想いを引き継ぐ人たちが各々のラヴクラフトを表現するのはとても楽しいですね。
そして今、クトゥルフ神話TRPG界では、様々なクリエイターがクトゥルフ神話TRPGシナリオを製作しているのが胸熱すぎる展開です。

==ルールブック==

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